八月のそらの夢/umineko
 


平和を訴えたシンガーは銃で撃たれた。
その高いビルは震えながら崩落した。

愛は正しさとは無関係だあるいは愛さえも残酷に時に人を。
正しさにルールはなくすべての証文はすりかえられてジャスティス、正義と公正さは同軸のものだったのにあるいはそう信じたくなるほどそれはもろく。

幼い夢の。

八月六日。
黙祷するこの街の朝。
サイレンがしずかに響く。

私は。
未来に祈ったことは一度もない。

神様なんていないから。
 
 



 
     
初出:現代詩フォーラム2006/7  
      ちょっとだけ改訂

 

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