板挟み/葉leaf
 
顔がたった一つだったのは顔と心がくっついていたからだ
心を変えることができないので顔も変えることができなかった
だがここまで沢山の顔が要求されてくると
僕は顔を心から引きはがす必要が出てきた
人々のぶつかり合う矢印に対応できるように
もはや心のくびきを離れた顔が
臨機応変に矛盾しながら引き裂かれながら対応していく
僕はもはや自分がどんな顔をしているか分からない
だが表情すらわからなくなってしまった今の僕の顔に
僕の責任はすべて負わされているのである
僕は顔と心のどちらに自分の本当の姿があるのか分からなくなる
もはや得体の知れなくなってしまった顔が独り歩きし
俺の方が本物だと主張し始めて
僕は自分の心のほんとうが分からなくなってしまう

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