人へ/葉leaf
 
へ罵声を浴びせかけるんだ

〈板挟み〉
僕はどちらかに傾くことしかできない粗製の天秤。
両方の皿に必死な二人があらんばかりの重りを載せてくる。
そして必ず命令するのは「釣り合わせろ!」
そもそも粗製の天秤にいい加減に重りを載せているのにどうやって釣り合うことができるのか。
僕は予備の重りを使いネジを調整し偽りの均衡を

〈八方美人〉
組織は大きな車輪を回し続ける。
その車輪を滞りなく回すため僕らは互いに摩擦しない。
油の中を漂うかのようにツルツルな僕ら。
だから全ての人に遍く好意を寄せ、
全ての人から遍く注文が降ってくる。
このてんでバラバラな注文に全ての人の機嫌を崩さぬよう、
矛盾を丸めて矛盾でなく見せる。
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