川口晴美詩集『lives』を読んでみた/光冨郁也
しのものにしてやろう」と思い少年に迫っていく。
その体のなかには痛みだけが詰まっているのだろう。だからこんなふうに体を折り曲げて、その痛みだけを大事に閉じ込めておこうとしている。鬱陶しくて、いらいらして、わたしは自分がもう十四歳じゃないことがひどく嬉しい。(「少年壊れやすく」部分)
女性というのはオドオドしている少年や立場の弱い男性を見ると、いじめたくなるらしい(笑)。女性にも裏返しの支配欲求や征服願望というのがあるのかもしれない。「体」「痛み」という言葉が力を持っている。自分もかつてはその年齢だったことに気づきながら。
わたしは生き延びたのだ。痛みばかり詰め込んだわたしの
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