川口晴美詩集『lives』を読んでみた/光冨郁也
 
川口晴美詩集『lives』(ふらんす堂)
2002.9.28発行

 8冊目の詩集。表紙の、野原(あるいは花畑)にスカートの足を投げ出している写真がおしゃれ。第53回H氏賞候補作。2度目の候補も、残念ながら受賞を逃す結果になった。けれどこの詩集の価値を落とすものではない。
 昨年の暮れに読んでから何ヶ月かが過ぎたが、感想として自分で納得できる言葉が思いつかなかった。
 
都電荒川線 「一人キリ」
 電車に乗っていて大学時代の自分を思い返したりするうちに、「ない記憶をたどる」。
 男・石田(石田吉蔵)を「殺して永遠に自分のものにする」という三十一歳の女(阿部定)の話がでてくる。この女
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