森山恵詩集『みどりの領分』について/葉leaf
 
―――
―――に波立ちざわめき
夜の肌を破る キョロンキョロン ツリー
(中略)
とりどりがわたしの骨の中で
騒ぎ、
泣き、
破り、
骨を、空を、肌を破り、ことばは、なく、なく
       (「はじめにことば、は」)

 森山は自然と人間との深い関わり合いを詩作のテーマにしている現代では珍しいタイプの書き手であるが、ここには詩の主体と自然との同質的で非常にダイナミックな交渉が見られないだろうか。
 「空はその肌を開き」というとき、この「肌」は作者自身の肌でもあるだろう。空が肌を開くとき、同時に作者も肌を開いているのであり、身体が自然と親しく重ね合わせられているのが見て取れ
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