森山恵詩集『みどりの領分』について/葉leaf
 



 今の日本では、誰でも理科の教育を受けると機械論的自然観を植え付けられる。自然界は元素の組み合わせでできています。自然は量的に計測可能です。厳密な実験に基づいて自然を利用していくのです。だが、人々は本当に機械論的自然観を受け入れているのだろうか。科学の文脈と日常生活の文脈では、人々の自然のとらえ方は違っており、しかもその捉え方は特段互いを排斥せず棲み分けがなされていると同時に、相互に微妙に影響を与えているように思える。世界観もまた文脈依存的であり、文脈が重なるところでは世界観も重なっていくのである。
 機械論的自然観は近代の産物であり、自然を純粋な量的空間としてとらえ、自然を知的操作
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