森山恵詩集『みどりの領分』について/葉leaf
 
に絡み合っているのであり、そのような意味で森山の詩編は特異なものであるといえる。

霧が降りる
しんじゅ色の霧がつみ重なって
木立が覆われていく

なにかが生まれようとしている
だれも知らない何かが
ゆっくりと生まれ出ようとしている

山肌をつたって霧がすべり降り
白い闇がさらに濃くなる
目の前の木々も白く沈んでいく
       (「白い闇」)

 自然と人間の根底にある持続の原理としての「愛」が互いに絡み合うところに立ち上る一種の熱気のようなものに森山の詩編は包まれている。そもそも、森山が自然と人間との交渉を詩として表現することで何が起こっただろうか。それこそ「だ
[次のページ]
戻る   Point(2)