ジャケットの間からつめたい風が訪れてきた/天野茂典
 
  そうしていいこともあった
  悪いことがほとんどなのに
  
  大志をいだきすぎたために
  ついへこんでしまう暗渠が

  ぼくの大陸棚を転げ落ちて
  ゆく 

  イメージの時代は去った

  ぼくの中の感覚
  ことばに意味をしょわせすぎてる

  詩は石鹸だー詩的真実
  汚れたらごしごし洗うのだ

  完璧なまでに
  消臭殺菌するのだ

  洗われた先に出てくるもの
  しゃぼんだ

  しゃぼんのなかに詩的真実ー詩があるのだ
  詩はハレでもケでもあるが

  今日のぼくの一日はケだった

  美しい夕焼けもでないでかぜが
  落ち葉を転がしていた

  ジャケットの間から冷たい風が訪れてきた


            2005・01・25

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