二王子峠/
Giton
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くにざかひ嶮(さ)しき小径を伝ひ
菩提樹(しなのき)の厚き葉叢の陰に
古びてあるか二もとの碑(いしぶみ)
旅人は振り返り又振り返り歩き過ぎてむ
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石のおもは雨雪に荒さび
刻まれしふみは時に埋もれて
あらたしき人に告げらくは
ただ二王子ここに弊れきと
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里遠きこの山の辺に
眠る御子ら名しも知られず
遥か消(け)てゆかむ巡礼の鈴
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嶺(ね)の彼方雲は涌き立ち
蝉の声絶ゆることなく
木枝は碑(いしぶみ)に影を落とせり
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