滲んだ絵画/
凍月
すると僕の足は自然に動き
吸い込まれるように絵へと向かった
そして分かった
何故、この絵がどんな絵か
誰も分からないのかが
僕の二つの目から
勝手に涙が溢れ出すのだ
一歩絵へと踏み出すたびに
溢れる涙も増して
泉のごとく溢れる涙に
霞んで前が見えないのだ
ああ……そういえば何時振りに
ここまで泣いただろうか…
そしてその
涙を止まらなくする絵の題は
《霞んで見えない絵》
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