青空の起源/やまうちあつし
 
一羽の鳥が
世界の果てを見に行った
そして
泣きながら帰ってきた

飼い主は訳を尋ねたが
何も言わなかった
いや
言えなかったのだ

そのかわり
鳥の羽毛は青く変わっていた
日に日に鮮やかさを増していった

飼い主や友人たちは
それを見ているだけで
幸せな気分になれた

けれど鳥の嘆きはますます深く
毎日泣きながら暮らしていた

ある時
鳥の青さと悲しみは限界に達し
とうとう溶け出した

見ていた人々は
危惧したが

鳥はそのまま
空へ広がり
青空になった

その下に
村ができていた
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