「夕方は戸惑う、存在の男」/宇野康平
 
まどろみの中、ぽつりぽつりと存在する人が去った。

去った後にぽつりぽつりがまどろみの中。

ぽつり、

ぽつり、

存在するなんて難しい言葉。

言葉は難しい存在。

言葉は存在していて男は存在に戸惑うの中。

大きい鳥居をくぐった、夕方。

ことばは男を、その存在を、戸惑わせた。



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