王国記 ?/
木立 悟
後を映している
止まない雨
止まない浪の音を映している
城壁は砕け
水はあふれ
迷い子は生まれ
輪を描きながら散ってゆく
水に裂かれた森のむこうに
けだものの羽は降りてくる
ひしゃげた鉄が
聞こえない喧騒のなか震えつづける
光の束を抱えた子が
光の川辺に腰をおろし
何も見えぬまま聴いている
消えた国の門を聴いている
戻る
編
削
Point
(3)