王国記 ?/木立 悟
 
後を映している
止まない雨
止まない浪の音を映している


城壁は砕け
水はあふれ
迷い子は生まれ
輪を描きながら散ってゆく


水に裂かれた森のむこうに
けだものの羽は降りてくる
ひしゃげた鉄が
聞こえない喧騒のなか震えつづける


光の束を抱えた子が
光の川辺に腰をおろし
何も見えぬまま聴いている
消えた国の門を聴いている






















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