花火のおと/吉岡ペペロ
 


どんなに泣いたあとでもたてていた

あのおと

どこかで赤ちゃんが

うつぶせのまま愛情に包まれている


花火のおとだけ聞いている

火災ビルからひとが落ちてくるような

ドスンとも

ガタンとも

なんとも言いようのない破裂音がする

夏の湿気とうごかない風

花火大会

浴衣姿

ともだち恋人

色彩も煙りも臭いもなく

勉強しながらおとだけ聞いている

火災ビルからひとが落ちてくるような

ドスンとも

ガタンとも

なんとも言いようのない破裂音がする








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