外せない連環/hahen
ぼくはそろそろ
ぼくという人間には飽きてきた
ぼくのいない世界を。
果てしなく流れ続ける
川の中の水を見たい
きみをぼくと呼ぶことは出来ない
それがわかってからは
どんどんと器が小さくなっていく
ぼくはもうじき成長を止める
きみが今何をして過ごしているかを
覚えていられなくなる
きみが喋る声
きみが可笑しいと思うもの
きみの痛み
そしてきみじゃないきみ
きみじゃないきみとは別のきみ
争いから声も、喜びも、痛みも
感じ取ることができなくなる
グラスフィールド、
硝子でできた涼しくて
硬い若草色の輝きの中に
きみじゃないきみが
生まれようとしている
あるが
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