こだわり/ただのみきや
 
似た酔狂者ひとり
        掛け軸の前 溜息も深く

 ( 夜な夜な 化けて出てくれたらなぁ…… )

「……シテヤッタリ 」 
聞こえていたなら きっと
だが絵師は時間の向こう側 知る術もなく
        今宵も煙管をプカリ 飽きもしないで墓歩き

        
掛け軸の幽霊だけが 
こころなしか 一瞬 微笑んで――
        夜道の白椿に化かされたかのように




               《こだわり:2014年7月21日》








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