祝園駅/
花形新次
いつの間にか
自分の背丈を越えていた
髭も生え
身体はすっかり青年に
心と眼差しは
あの頃のままに
今年の夏も
京都から
近鉄線で祝園駅に行くのかい?
何もない駅なのに
何故行きたがるのかしら
言葉とは裏腹
若い彼氏とのデートを
喜んでいるきみ
何もかもが
蒸発する暑さのなか
今にも溶けそうな
ホームのベンチで
静かに帰りの
電車を待つ二人
月並みだけど
幸せになって欲しい
そして
晩御飯はトンカツがいい
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