デリート、デリート、デリート、/為平 澪
呪われた純粋な、声、声、声・・・
(カッコウの雛は、裏切り者の親を呼びながら
黒い瞳のまま 歩いていけるだろうか)
※
羊の群れの戒めが黒く世界に木霊する
決して花の芯のことや 玉葱の中心や
親鳥の悪だくみを 尋ねてはいけないよ
ましてや、君の胸だけに咲いている赤バラ
一本の筋の通った 話をしてはいけない
なぜだって?
羊たちはみんな違う色を憎みながらも
美しいものが欲しくてたまらないのさ
君が咲かせた赤バラは君を守るが
花をだれかに掴まれたが最後
君は消されてゆくからね
リルケを殺した棘にも似た
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)