漬物石を放り投げた小さな手/るるりら
 
ると すこし大きな石になった
最後に とても石が置かれて その石を わたしの小さい手で 
よいしょと どかすと どすんと大きな音がした

ナス も クズ も みんな おいしくなった
あの日のあの やさしい味と すこしだけ似ている今の私の糠床
この調子で いい塩梅になるほどに 涙もいつか許される気がして
だれにも届かない言葉で どうしようもなく ふやけている私に 沁みている
今日の私のこの心の深いところから あの日のちいさな手が  はえてくる
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