漬物石を放り投げた小さな手/るるりら
 
何度、心から良い人になろうとしたか
ちゃんと話を聞こうとしたか解らないのに
カスだからかな スカスカに ぬけてしまう

重い漬物石のような思い おなさいころからの
もっとも親しい人たちから 順番に 失ってしまった
もっと話を聞けたろうに もっと大切に できたろうに
どんどん私を 重くする わかれ

とつぜん 祖母のつけてくれた漬物のことを思いだして、
《簡単糠漬け》なんてものを スーパーで買ってきた
懐かしい匂いがして、こねるほどに野菜は水分がぬけて
不思議な生き物たちと融合する クズやさいたち

そういえば婆ちゃんの糠床の石は 最初は ちいさかった
量が減ってくると
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