ブランコの調律/凍月
 


夜の公園に
惹きつけられるように入る
煌々と光る場違いな電灯
木々の手前にあるブランコを見つけた

オーケストラが始まる前の
各自がバラバラの音を出すチューニング
管弦のラや
吹奏楽の♭のような
錆びた金属の軋り
散在する音でありながら
一つの音楽のような
何かの前触れのような
そんなブランコの夜想曲

きぃーーこ
きぃーーこ

夜の開演を揺れながら待つ



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