四度目の上京/馬野ミキ
 
づらいのだ
たまに孤立していた新工場長と幾度か昼飯を共にした
品質向上スローガンの募集で俺の文学的才能を知らしめようとしたが箸にもソードにもひっかからなかった

やがて夜勤で言うことを聞かない機械を蹴るようになり
工場に行かなくなった
班長が俺を居酒屋に連れて行き慰めた
最後に明日から工場こいよ!と言って俺の肩を叩いた
俺は「はひ」と言って次の日も仕事を休んだ
自転車で河原に行き気持ちよかった

長野のスノーボードの大会で怪我をした弟が帰ってきていた
母と三人でレストランに行った
母は俺が工場を辞めたことを責めなかった
俺は少し救われたと思った
弟と三国志を24時間し
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