クラブマリノス/草野大悟2
 
見開いてにこにこ笑っていた。
 シロブーちゃん、という渾名が決っして褒め言葉ではないことにうっすらと気付くようになったのは、小学校に入学してからだった。 柔道の名門といわれる高校に入り、全国から集まった高校生達と激しい練習をし、そこそこ強くなっていた。学校の成績は悪かった。授業そのものがまるっきり判らなかったし、判ろうという気もおきなかった。
 柔道部の監督は熱心な体育教師で、大学時代、全日本で優勝したことがある。
 監督は、試合で負けたり、練習で気を抜いたりすると腕立てと腹筋を各々五〇〇回やらせ、竹刀で尻を容赦なく打った。そんな時は
顔をゆがめながら耐えるしかなかった。
 部員の中から
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