広尾五丁目の交差点、橋を渡ったら。/吉原 麻
朝7時半に目覚まし時計がなる 君は起きない
8時にも目覚し時計がなる やっと起きる
お湯を沸かしてテレビをつけた君は ふわあ とあくびをしながら
寝たふりをしているわたしに くちづける
黄色の髪がさらりと頬にかかるとくすぐったくて つい笑ってしまう
お湯はもう沸いているのに ふたりはもう一度ベッドで じゃれる
ごはんとお味噌汁と昨日の残りの何かを食べて いそいではみがきをして
狭いアパートの玄関を出る
出る前には必ず もう一度 ぎゅう をする
玄関を出て3階から1階まで降りたら ふたりは逆の道に進む
黄色の髪と淡い香水のにおいとが 胃のあたりを きゅっ と押す
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