Peace/
藤原絵理子
夕焼けが一滴
グラスのソーダ水に落ちる
オレンジ色の泡が 壊れて跳ねて
テーブルに無数の 黒い点を残した
その夜
洋燈の芯は燃え尽きた
実りのない会話は 肌に
染み付く灯油の 匂いを残した
あなたが話している間 あたしは
回し車の栗鼠を 思い浮かべていた
シーシュポスの岩が 崩れる瞬間を
どこからか音符の群れが 流れた
あたしは物語 けっして終わることのない
あなたは夕焼け 何度も繰り返して
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