樹/たまのす
ただ立っている
風を教えてくれるだけ
喋れるが沈黙
どこかで馬鹿にしているのだろう
簡単に壊し消費する我々を
小さく、待てない我々を
待っているのだろう
気づくまで
でも!
問うてみる
お前は根を生やし光を食い二酸化炭素を吸収する
生きるために動き、成長していく
僕だって同じように
お前を食い、呼吸し、
生きるために動き、成長する
やっていることは同じじゃないか!
乗り移ったDNAが違ったに過ぎない
その意味では我々は被害者だ
この世は自分が生きようとするやつが生き残る
この問題を解決するなんて
到底できるものではない
ふっと
(神を殺すように?)
ざわざわ樹が笑う
違う!
死んだ神は人間の作ったものにすぎない!
この問題は現実の…
振り返るとすごい勢いで初夏の風が通り過ぎていった
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