小屋/草野大悟2
た。次々と襲われ、食い散らかされてゆくウサギたちの中に、清田さんや島村さんやナリちゃんや倉本さんがいた。四人は食いちぎられ、血にまみれて死んでいた。
喉を食い破られてステージの真下に倒れている僕を、濃いルビー色の目をした小さなウサギが、心配そうに見つめていた。
(シロ、早く逃げろ……)
薄れてゆく意識の中で叫んだ。でも、シロは僕をじっと見つめたまま動こうとしなかった。僕もシロを見つめた。
その時、僕とシロを光が包んだ。
(こっちだよ。こっち)
どこからか懐かしい声がした。
その声に導かれるように、二羽の白いウサギが光の中を昇っていった。黒い犬たちは、口を開けたまま、ただ、黙ってその輝きを見上げていた。
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