現場のへその緒(5)/Giton
 
錯乱ではなく、《小岩井小学校》へ運動会の準備をしに行く休日の子どもたちだと推定されたのは、岡澤敏男氏です。氏の推定には十分な根拠があります。

しかし、ここでも賢治は、実景を“写生”しそのまま記録しているわけではない──ということは、明らかです。

「かゞやいてわらふ」

ここまで来れば、もう、風景の「わらひ」、作者の「わらい」は、説明するまでもないでしょう‥

ともかく、どんなに走り、歌い、跳ね上がろうとも、
この作者は、“現場のへその緒”を、いつもしっかりと抱きしめているのです。

(ご完読ありがとうございました)
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