月夜恋歌/藤原絵理子
金色のひかりが
静けさの青を深くする
ねむっている
あなたのまつげに
いとおしい夢のかけら
燃えのこる 十七夜
はじめて あなたに
抱きしめられた
風が囁く笹の月夜
まるで 昨日のことのよう
あなたの呪文に
うなずいたあたしは
まぼろしの川面を漂う少女
あなたの燃える瞳に恋した
過ぎ去るほどに失われるもの
過ぎ去ればこそ恵まれるもの
金色のひかりは
あなたの寝顔をやさしくする
月夜のベッドに 頬杖ついて
眺めているのは
あの夜のあたし…
まぼろしの川面を漂う少女
あなたの呪文に魅せられたまま
あたしは流れていきたいの
はるかな彼方へ 銀の海まで
なんども あなたに恋しながら
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