ぶっつけ未詩 3/Giton
かけた警官は、この女がほんとうにあの首魁、あのNかと訝しんだ
しかし彼女はいちどたりとも死ぬということを考えなかった
その後40年間、最後に意識を失う瞬間までのあいだにも‥
彼女はいつも、自尊心と、嫉妬と、反逆と夢想にのみ満たされた少女だった
永久に少女だった‥
彼女の頭脳はいつも山上のお花畑を走り回っていた
お花畑の空には、いつも、その文字が‥
彼女の座右の銘が、沸き立つ雲のように揚がっていた:
「E=MC2」(注:「2」は、二乗記号(上付き文字))
彼女から来た年賀状には、花咲き乱れる広野を越えて行く幌馬車が描かれていた‥
彼女がどうして私を選んだのか
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