蒼星交響楽/塔野夏子
 
やわらかな祭壇から羽搏く宝石函
銀のスウィートピーが窓辺で揺れる
炎と氷の繊細なレースを身に纏い
水平と垂直との幸福なダンス
ダイアモンドの心臓の生きいきとした旋回
ピアノの鍵盤は記憶と予感とで出来ていて
奏でる音色にたとえ闇と痛みとが潜んでいても
結晶は微笑む
磨硝子の夜明けの廻廊を巡りつづける共振
増幅されるプラチナの波長
幾重にもくり広げられてゆく空の彼方へ
虹が弦となって 響く 響く




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