ひとひら/あおい満月
 


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めがさめて
なにものこらなかったのは
ひとひらのたましい
ゆらりゆれて
ほむらになって
ゆびさきまわる
ちょうちょうが
こっちへおいでと
赤い牙をむく

***

視線を逸らした
その先には
琥珀の海がある
海はどこまでも染み込んでくる
琥珀の海は、
真実しか求めない
海の手の差し出すさきには
この身はいない
海が残した
巻き貝のなかの声は
永遠にこの名前を呼んでいる


                    
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