残響/凍月
 


この音楽が止まるまでは放っといて
何も考えたくないんだ 今は
悲しいのは嫌だから
寂しいのは嫌だから
何も失いたくないけれど
今はこの音楽に身を浸したいだけ


まるで目隠しされて生きてるみたいだ
僕は一体何を知ったつもりだったのかな
君の事
僕の事
君と僕の間の事
湿った石の下に潜む
醜い虫みたいだ
「人間は一人だ」って
言ったのは僕じゃないか
それを忘れていたんだよ
君を見た時から
だるま落としみたいに
一番下を一気に抜かれた感じ
僕は不器用で不安定
だから
全部一緒に崩れたよ


この音楽が止まるまでは放っといて
何も考えたくない
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