鏡片/凍月
僕の想いは鏡の一部
鏡の破片
粉々に散った僕の一部
部屋中を埋め尽くす鏡には
紛れもない僕がいる
鏡の地平線の中に
変幻自在の世界が広がる
だから
けれど
鏡は
僕だけを映してくれる訳じゃない
鏡を見て
自分を見ていると
抑えられないんだよ
粉々に割りたいんだよ
言いたい事は薄れゆく
言葉はどこかへ駆けてゆく
僕そのものは欠けていく
そのうた
自分が何を考えてたのかさえ
忘れゆく
だから言葉を文字にしよう
僕の欠片を書き留めるために
もう一人の僕を引き留めるために
僕の生を残すために
粉々に散った鏡片が
一斉に僕を見る
止めてくれ
僕を見ないでくれ
だってどれが本物の僕かなんて事
僕だってもう分からないんだ
足の踏み場もなく
鏡片が広がっている
人生という長い詩の
粉々の欠片たち
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