約束/アンドリュウ
 
もぬけの殻の四郎は小さな山の頂に立った
6年前美智子と交わした約束
「3年後のこの日に もしまだ好きだったらここで会おう」
美智子は涙をいっぱい浮かべながら細い頤を振って何度もうなずいた
その様が健気で愛おしかった
二人は何度も抱き合って泣いた 
その日夕日が沈んでから月明かりの中を手をつないで下山した 
その時の美智子の手のぬくもりを昨日の事のように思い出す
次の日四郎は後ろ髪をひかれる思いでアメリカへ留学した
将来結婚して美智子を幸せにするにはどうしても越えなければならないハードルだった 
三年間の研究を終えて帰国すれば大学に講師の席が用意されている
別れている間は研究に
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