歌いたいうた/はしごだか
世の中うたが多すぎて
とても選ぶことなんてできない
本当に歌いたいうたたったひとつ
世の中うたが多すぎて
いつか忘れてしまった
本当に歌いたいうたたったひとつ
むかしむかし、だいぶむかし
もともとうたはたったのひとつ
ひとつだったのに、細分化し
とりどりのいろで世界をみたす
みんなが歌うそれぞれのうた
大きなうずにとけこんで
虹のガラスの砕けちった砂
万華鏡につめこんで
回っている
星のコイル
数百マイルを飲み込んで
乳白色に光る水滴の裏
それのどこかにぼくがいる
それのどこかにぼくがいる
朝もやに立つ街路樹の下
敷かれた石をどかして
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