サムソンとデリラ/atsuchan69
と、さっそく異教徒の女をめとり、自分の思い通りにならないと暴れて大勢の人間を殺してしまうのだから超トンデモだ。また天使である「不思議」さまが、サムソンの母へ「ぶどうの木から産するものはすべて食べてはなりません」と語っていることにも注目しておこう。ふつう聖書で語られる「ぶどうの木」とは、キリスト・イエスを指しているからである。ラスト、三千人を収容する巨大なダゴン神殿のなかで眼をくり抜かれ見世物にされているサムソンが「わたしの手を放して、この家をささえている柱をさぐらせ、それに寄りかからせてください」と言ってから渾身の力で二つの中柱を押し倒して神殿をまるごと崩壊させてしまうクライマックスでは、「わたしはペリシテびとと共に死のう」と語らせている。うーん、裏読みとか勘違いってあまりしたくないのだが、この話、不思議に満ちていてもうまったく素晴らしすぎる。どんどんトンデモワールドの深みへとへ惹きこまれてゆく。こんなことばかり考えていたら、夜も眠れない。
追記:旧約こそがサムソンを襲った獅子だとする説‥‥。ええと、彼は死体の蜜を手にしたときすでに律法に背いていた。
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