源氏パイ/
花形新次
源氏パイがあった
たまたまキッチンの棚を見たら
人目を避けるように
そこに佇んでいた
袋を開け
一枚口に含んだ
ホロっと解けて
甘い香りが
口一杯に広がった
止まらなかった
止められなかった
その責任は
僕にもあった
でも源氏パイ側にもあった
気が付くと
残り一袋(計2枚)になっていた
ここまで来ると
残すも残さないも
妻の怒りに
違いはなかった
最後に思い切って
2枚を重ねて食べてみた
充足感が半端なかった
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