フィクション/ユッカ
自分を手放す。女の子も、男の子も。ああ、ばかみたい。手をかえ品をかえ、きみの輪郭線がさまざまな色で描かれるのをここで見ていた。最初は鉛筆で、つぎはインクで、最後にペンで。ばっちい。ああもう、さわらないで!
なあんてね。すべて恋のせいにしたほうが美しいから、こんなことを書いているのさ。言いたいことを言わなかったぶんだけ、自分のことがどうでもよくなってしまうから。だからこれは愛。これは善。これはあたしにとってのさいわい。どうかご心配なく。現実はハッピーでもアンハッピーでもない。ヤマもなければオチもない。それならせめてイミがほしいと思って言葉をさがすのさ。ああ、あたしたちはいったいどこからきて、どこへいくのか。いったいあたしは誰なのか。題名だけでは何もわからない。あたしは風にめくられる書物。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
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