物語に深みを出すには/yamadahifumi
 
らであり、従って、いつの時代にも才能や努力という言葉が空回りし続けることになる。

 プロットの外面的な作り方(主人公を必ず辛い目に会わせる、など)は後でいくらでも学べるだろう。しかし、物語を造る上で根本的に大切なのは、この人間的深みの問題だ。自己を相対化する視点を持ち、時には、自分の反対者、敵対者に共感する事だ。ところで今、世の中はこの共感力を失いつつある。

 だが、フィクションを作る人間に大切なのはこの想像力だ。そこには当然、自分を否定する痛みがある。だが、その痛みを引き受けて、物語創作者はより高みに昇る事ができるのだ。

 物語を作る問題について、とりあえず以上のように考えてみた。この問題はもっと進めて考えてみたい。
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