プール/凍月
 



秒針だけの静かな時計

飛び込もうとして
やっぱりやめる
仄かに光って揺らめく水面を
乱したくないと思って
つま先から
トポンと

辛くても生きる体温を
鎮めてくれる水の中
産まれる前の心地よさを
記憶にも無いのに連想する

息を吸うと
体は段々浮き始める
直線で区切られた
世界の天井が見える

それから
水面に自分の腹が
手が
足が
胸が
そして顔が
沈みきった時

息の出来ない事よりも
漠然だけど怖い不安が…

プールサイドにはいつの間にか
見知らぬ誰かが腰を掛けて
足をバシャバシャさせていた
水面を見ながら笑ってい
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