残された時空/
信天翁
去る日──
虚空は躁病となって
ルビーの文月が真夏日となった
風と光と雨と土は
ぺんぺん草だけを増長させた
趣きの貧相なおらが裏庭一面に
あゝ 網戸をすりぬけて匂ってくる
干上がりかけた草いきれが
生のゆくての死の果てから か
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