雨季の出来事/はしごだか
 

 じわりと、染み、
 あなたの窓辺をおとずれる
 わだちを残してゆきすぎる
 大きな生きもの


大きくなれば、大きくなるほど
誰にも見えなくなるケモノ
今日もくもった空のもと
どこかで待ってる 雨の音…
ポツリ、ポツリ、
ポツリと、降り、
しずまりかえったビルのまち
さびしい湿度が空に満ち
はらり、はらり、
はらりと、泣き、
わけもないのに涙をながす
ばくぜんと重い 感傷のクズ
急ぐでもなく休みもせず、
あてもないのにわき目もふらず、
不器用に、
ひたすらに、
ただ前だけを見つめてあるく
ただの

大きな生きもの

あるありふれた雨季の出来事
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