白い幻影/凍月
君と出会ってから迎える冬は初めてだ
僕の無意味な君への想いの残滓と
僕の目に焼き付いた君の残像が
見えない粒子になって僕に纏わりつく
僕の肺から出た溜め息の水蒸気に
煌めくそれらは白い冬の幻影
その白さが思い出させる
君の手の白
僕の記憶を上書きして
君が忘れられない
目の前が君の白に染まり
何も見えない
手袋をしても手が動かない
君がいないから
窓の外の雪景色は
結露した涙で見えない
外に出たら
優しいはずの太陽が
儚き結晶を融かすだけ
一陣の風が木の葉を運ぶ
軽快なリズム
冬の風が冷たいのは
隣に君がいないから
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)