【 ちくわ 】/泡沫恋歌
 
冷蔵庫に賞味期限切れの
ちくわが一本残っていた
二日しか過ぎていない
まだ大丈夫だろうと
丸かじりする

食べながら
ちくわの穴と対峙する
もしかしたら……
別世界が見えるかも知れないと
穴から外を覗いてみる

ジィィィ――――

一見無駄にみえる穴だが
そこにはちくわの
「美味しく食べてね」
と、いう
メッセージが込められていたのだ

時として
胡瓜やチーズといった
異物を挿入されたり
塞がれることもあるが
かまぼこや平天にはない
この穴こそが
ちくわのアイデンティティ!

安いからと
考え無しに買ってしまう
五本入りちくわだと
いつ
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