め/Giton
いくもが靄のように霧のように世界をみたす朝
賞味期限を過ぎたパンを齧っても、誰にも褒められないと知りながら、やはり齧っている朝
日が出なくとも、明るくなれば椋鳥は啼くし、尾長は裏の山からやってきて、ただ驚かすためだけの挨拶をする
ながくながく囀りの白い紐を引っ張って飛んでゆくのは、なんという鳥なのだろう‥
立ち並んだマンションの常夜灯が薄れてゆくなかで、こんなにも鳥の種類が豊富だったと気づくのは、いったいここに住み始めて何年目なのだろうか
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白い朝が、もう青くなりかけている‥
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そして、涙だけが、名残り惜しそうに、まぶたの敷居を越えかねている‥
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