再会/nm6
自分に酔ってはいけない
あのころ
きみに酔っているだけで
ことばが出てきたのだ
あるいは酒に
たぶん
ほんとうはどこかにあって
しまったままの
ぼくのことばは
どこへいったのだ
あのころ
乾いていた
部屋に風が吹いていたし
畳に太陽が落ちていて
ぼくはただ転がって寝ていた
あのひだまりの
ふきだまりの
あのころ
ぼくのことばは
指先から光線のように
口先から草原のように
まぶしく
ことばが出てきたのだ
きみに酔っているだけで
あるいは酒に
*
再会を、いつか会えるかと思っていた彼女の、遠くでうっすらと光っている金色の、均一にひろがるかなし
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