ハオルシア オブ ツーサ/衣 ミコ
一番早くに鍵を手に入れたのはハオルシア、君だったね
薄暗い石像の並ぶ地下室に
大人たちが隠した小さ過ぎる穴
逆さまの天井に光るひとつ星
巡礼者だけが知っている秘密
(打ち明ける、打ち明けない、打ち明けない、打ち明ける)
夜明け前の暗闇の彼方で
鳴いている大鴉
恐ろしさに目蓋を閉じても逃げられないなら
もう 前を向いて
*
今 吹いている風の事
君が赤い砂漠のひと雫だった頃の
左肩まで砂に埋れて
キャラバンの男に行きずりの恋をしていた頃の
黄金の玉座に座る高飛車な女が
君を“はすっぱ”だと笑ったあの頃の
君は鉱石みたいな瞳にいっぱい涙を溜めて
今でも覚
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