紫陽花/
千波 一也
濡れそぼつ紫陽花を
傘の中から覗いたわたし
やがて
雨が上がれば
水滴さえも花にして
紫陽花は凛と
咲くのだろう
濡れることを厭うわたしは
濡れる役目を傘に負わせて
柄を握る手に力を込める
わたしは
何を守るのだろう
わたしは何を守れるのだろう
例えば
もうじき注ぐであろう陽射しの中で
望みのはずの陽射しの中で
戻る
編
削
Point
(11)